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2007.03.01
名古屋ミッドランドスクエア(2)高層レストラン階には仏三ツ星店「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」が日本初出店!◎平松宏之社長インタビュー
名古屋の新ランドマーク「ミッドランド スクエア」オフィス棟41階、42階はレストランフロア「スカイレストラン」だ。「天空のプレミアムダイニング」をコンセプトに掲げた構成でフレンチ、イタリアン、日本料理、中国料理、すし、すき焼、バーの全7店舗が出店した。
41階
日本料理「吉兆 名古屋店」
広東料理「福臨門酒家」
すき焼専門店「人形町今半」
すし「鮨処 吉鳳」
ダイニング&バー「ブルーエッジ」
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42階
イタリア料理「エノテーカ ピンキオーリ」
フランス料理「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」
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スカイレストランへの動線は、オフィス棟の「シースルー・ダブルデッキ・シャトルエレベータ」(世界初の2層式エレベータ)で1階または地下1階とを結ぶ。41階と42階は吹き抜けエリアのエスカレータで移動できる。この構造などは、オフィス商業複合ビルの先駆的存在である東京の「丸の内ビルディング(丸ビル)」によく似ており、ゆったりとした雰囲気を醸し出すのに成功している。飲食フロアが低層階と高層階に分かれている点、地下に駅直結の食品フロアを配置したことなどを見ても、ミッドランドスクエアの商業開発のモデルとして、丸ビルの事例があったであろうことは想像にかたくない。
さてミッドランド スクエアの目玉というべき、スカイレストランの中でも、開業前から話題を呼んでいるのが「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」である。経営は(株)ひらまつ。フランス・アルザス地方イローゼンにある三ツ星レストラン「オーベルジュ・ド・リル」がひらまつとの提携によって、日本初上陸を果たした形だ。
「オーベルジュ・ド・リル」は40年にわたり三ツ星を維持している、フランスでも有数のレストランだ。父ポール・エーベルラン氏の跡を継いだ現在の料理長マルク・エーベルラン氏は「トロワグロ」「ポール・ボキューズ」「ラ・セール」などで修業。オーセンティックな料理を得意とし、アルザスの名手と讃えられる同店の名声を守り続けている。
三ツ星の老舗として世界各地や、またフランス国内パリからも提携や出店の依頼が絶えない「オーベルジュ・ド・リル」だが、これまで、どの話にもOKを出さなかった。彼ら父子の看板料理である、アルザス地方ならではの「蛙のムースリーヌ」や、「鵞鳥のフォアグラのテリーヌ」等のレシピは門外不出で、弟子にも容易に教えないというエピソードも聞こえてくるほどだ。
◎本店以外でオーベルジュ・ド・リルの料理を食べられる世界で唯一の店
ミッドランド スクエアの「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」は、そんなオーベルジュ・ド・リルの料理をイローゼンの本店以外で食べられる世界で唯一の店だ。
一品料理には彼らの看板料理として名高い
「《オーベルジュドリルのスペシャリテ》 グルヌイユのムースリーヌ 'ポール・エーベルラン'」6000円 demi3500円
「鵞鳥のフォアグラのテリーヌ オーベルジュドリル風」5500円 demi3000円
も並んでいる。*demiは半皿
ランチメニュー(コース)は、6300円、8400円の2種類。
ディナーメニュー(コース)は、8400円、1万2600円、1万6800円、2万1000円、2万6250円の5種類(料金はすべて税込み、サービス料13%別)。もっとも高額な2万6250円のコースは「Le Menu HH」と題し、エーベルランHaeberlin と平松 Hiramatsu の頭文字を組み合わせたコラボレーションコース。2人の料理を1皿ごと交互に提供する趣向だ。
ワインリストは、フランスのソムリエ協会会長であるセルジュ・デュプス氏が作成した(!)という、こちらもゴージャスな内容。うやうやしく箱に入ったリストの表にはデュプス氏のサイン入りプレートが埋め込んである。こうした細部にも三ツ星レストランの格式を感じさせる。
内装デザインは著名インテリアデザイナーの森田恭通氏が担当した。天井から下がる豪華で大きなシャンデリアの素材はオリーブの木。壁は白を基調に、床や柱など随所に天然木を配して、温かみと自然の風がかおる空間をつくり上げた。清潔で爽やかだが、フランス料理らしい重さも残したデザインだ。店舗規模はメインダイング70席と2室の個室(ともに12席)で構成。厨房側の個室はワインセラー越しに厨房がうっすら透けて見えるシェフズルームになっている。個室、メインダイニングとも窓からは名古屋市を一望でき、眺望もみごたえがある。
レストランウェディングには対応しない。年商5億円が目標だ。
◎ひらまつ代表取締役CEO平松宏之氏に聞く
フランスの名店「オーベルジュ・ド・リル」と、ひらまつとの提携がなぜ実現したのか。ひらまつ代表取締役CEOの平松宏之氏に聞いた。
「マルク・エーベルランとは5年前に料理人同士として知り合いました。僕がパリに出店してミシュランの一ツ星を獲った頃に、マルクが店に来てくれた。僕の料理をスゴイと思ってくれたそうです。そこで3時間ばかり、いろいろな話をして・・・それから親交が深まり、いまはマルク、ムッシュ・ポール(ボキューズ氏)、『ダル・ペスカトーレ』のアントニオ・サンティーニと僕との4人は一緒にほんと、悪友!という感じです(笑)。
当社は2002年に丸ビルに『サンス・エ・サヴール』という店を出し、ジャック&ローラン・プルセル兄弟と提携しました。彼らの料理は、いわばフランス料理の先端的に拡がった枝や花の部分。それに対して今回は、クラシカルな、フランス料理の王道、樹木でいえば幹の部分を日本に持ってきたかったのです。
フランス料理はいま、フランスでも日本の影響を受けて変わって来ています。キュイジーヌ フランセーズ ア ラ ジャポネーズ(日本的なフランス料理)といってもいい。先端的なフランス料理人たちが、日本を勉強して料理に取り入れている。
でも、これを日本人がやると、日本料理になっちゃうんですね。
フランス料理的なフランス料理。エスコフィエがあって、ボキューズがあって・・・と成長してきた王道の料理を、日本に伝えたいと考えたんです。マルクはまさに王道の継承者。ボキューズで学び、40年間の三ツ星を守る老舗の料理人ですからね。
彼がどんな人物かといえば、アルザスの人、典型的なアルザシアンですね。働き者で、明るくて情が深くて。父エーベルランから店を継いだのですが、フランスではもっともうまく代替わりが成功したケースと言われています。父の築いた料理の方向性を守りながら、自分の特徴も出している、バランスがいい人。彼らの料理は門外不出、海外やパリからの提携もいっさい断っていると聞いていたので、提携を受けてくれるかはわかりませんでしたが、電話で日本への出店に興味があるか聞いてみたんです。そうしたら『ものすごくあるね』というんです。『だって、ヒロユキがやるんでしょ』。僕はうれしくなり、さっそくイローゼンの彼の店に行き、庭で話を始めたのですが、提携話は、たった2分で決まってしまいました」
その後2人は父ポールをはじめエーベルラン氏の家族一同と食事をし、家族同然のつきあいを約したという。
◎海外との提携レストランでも日本人料理長を起用する理由
つまり平松氏とエーベルラン氏との友人としての信頼関係が、今回の提携の基盤になっているのだが、もうひとつ、運営母体としての信頼があったこともポイントだ。海外との提携レストランをつくる場合、もっとも重要なのは「本店と同じ味が出せるか」ということだ。本店側との契約において、2つのパターンが考えられる。(1)は本店から料理長を日本へ派遣するケース。(2)は、日本人料理長を研修させて、本店の料理を再現させるケース。もちろん、時期を経て(1)→(2)へとスライドする場合もある。
ひらまつでは(2)日本人料理長が味を再現する手法を採っている。これは自身も料理人である平松氏らしいポリシーである。
「フランス人料理長を日本へ招いて常駐させると、その下に日本人の二番手をつけてチーム全体との意思疎通を図ることになりますが、どうしてもフランス人が浮いてしまいがちになり、チームをつくることが難しい。料理をつくるにはチームの組織力が何より大事です。日本人だけでチームを組んだほうがうまくいくし、フランスでの修業を積んだ日本人なら、技術もセンスもフランス人に負けませんからね。組織をつくったり、教えたり、そういう力は料理技術とは別に、料理長には必要なことです」
オーベルジュ・ド・リルに先んじて、今年1月21日にひらまつは東京の国立新美術館内にフランス料理界の巨匠ポール・ボキューズ氏との提携店「ブラッスリーポール・ボキューズ ミュゼ」をオープンしている。ボキューズ氏との提携を決める際にも、ボキューズ氏は「お前は家族だ。全部任せる」とごく簡単な会話で決めてしまったそうだが、その理由は「ヒロユキはオルガナイズ(組織づくり、統合)がうまいから」というものだった。
これまでプルセル兄弟やジャン=ジョルジュ・クライン(アルザス「ランスブルグ」)との提携店を日本に展開してきたひらまつだけに、海外提携店運営の経験値が高いという安心感もある。だが実際、特段何か変わったノウハウを駆使しているわけでもない。海外提携を成功させるキーポイントは、提携する料理人と料理に対して、受ける側が同じ料理人として家族的な愛情と尊敬を注げるか、という案外シンプルなところにあると思う。[RN]
[ここにも注目!]
内装デザインはインテリアデザイナーの森田恭通氏が担当。森田恭通氏のデザインするレストランといえば、クリスタルが妖しく光る、煌びやかで色っぽい店を思い浮かべる人も多いだろうが、今回の森田デザインはちょっと違う。「劣化しない店をつくってほしい」というのが平松氏からの森田氏へのリクエスト。レストランは長年その場所で生き続けるもの。開業の最初が最高に美しく、あとは飽きられ、崩れていくのでは困る、と言ったそうだ。
「人間は奇をてらったものに囲まれていると落ち着かない。一番落ち着くのは自然素材に触れた時。オーベルジュ・ド・リルのある場所を想い起こさせるでしょう?これも僕のデザイン。いつものキラキラエロエロじゃないね、なんていう人は僕を誤解していますよ!僕はいつでもオートクチュール。いつもサプライズを考えているだけ。平松さんとはいろいろ話しながら、店にふさわしいデザインを考え、とても楽しい仕事でした」(森田恭通氏)。新鮮な森田デザインを楽しみに行くのもいいかもしれない!
◆「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」
愛知県名古屋市中村区名駅4-7-1
ミッドランド スクエア42階
電話:052-527-8880
営業時間:11:30~14:00LO、17:30~21:00LO
定休日:なし
>>明日の関連記事につづきます。
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