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<title>交叉する外食と農業の未来</title>
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<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/07/post_5389.html">
<title>イネに肥料を与えるやり方として、独特の体系を持っているのが、「栄養週期」という農法を実践する人たちです。</title>
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<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/banner_rnnogyo.gif&quot; /&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;http://www.saitosatoshi.com/&quot;&gt;
齋藤訓之&lt;/a&gt;（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。
&lt;/p&gt;&lt;hr /&gt;


&lt;p&gt;　イネに肥料を与えるやり方として、独特の体系を持っているのが、「栄養週期」という農法を実践する人たちです。独特の体系といいますが、これはマジックではなく、植物の生理を研究した上でたどり着いた基本中の基本というのが、彼らの考え方です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　栄養週期では、イネだけでなく、どんな作物でも、発芽からある程度の大きさまで生長するまでの間には、肥料成分は一切与えません。イネの場合は、「赤苗を育てる」と言って、肥料を与えずに細く弱々しい苗を作ります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　赤苗は、見た目ははかないほど頼りない苗ですが、栄養を求めて、猛烈な勢いで根を張る力を持ちます。そして、水田に移植し、これから体を大きくしていくという段階で初めて窒素肥料を与えます。すると、待っていましたとでも言うように、メキメキと力強く育ち始めるのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/07/04/photo011.jpg&quot; title=&quot;Photo011&quot; alt=&quot;Photo011&quot; /&gt;
&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;写真：栄養週期栽培のために育てた“赤苗”&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　作物は、移植初期に早く育つことは非常に重要なことです。これは、太陽エネルギーを十分生かすことができる体を早く作るということだけでなく、雑草よりも早く背を伸ばし、雑草への太陽光を遮り、競合に勝つというためにも重要なことです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　生長した稲は、やがて穂を付けます。この、花芽分化始めるという段階を見逃さずに、与える肥料の種類を変えるのが、栄養週期実践の重要な手順の一つです。この段階では、窒素成分はピシリとカットし、代わってリン酸、次いでカリを与えます。体を大きくする段階では窒素成分が必要ですが、生殖（受粉）に向けて必要になるのはリン酸とカリだというのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　特にこの切り替えはタイミングが重要で、この時期、栄養週期を実践する農家は、毎日圃場を詳しくチェックし続けます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　イネが受粉を終え、稲穂を充実する段階になったら、その終盤にはカルシウムを与えます。すると、稔りがよくなるのですが、ただ実が大きくなるだけでなく、中身が詰まったものになるということです。乾物重量といって、作物を乾燥させた後の重さを計ると、一般的な栽培に比べて、栄養週期による栽培の方が、はるかに重量があるということです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　このように充実した実は、イネだけでなく、イモ類や果実でも、味が濃く、しかも日持ちがよいものとなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　栄養週期という栽培方法は、イネやさまざまな作物について実践されていますが、もともとは「石原センテ」という品種のブドウについて始められたものです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　石原センテは、農学博士の大井上康という人が戦前に開発した品種で、大粒で味が良い優れた品種です。ところが、その栽培は簡単とは言えず、上手に管理しなければなかなか良い収穫が得られないものだといいます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　そこで、その栽培の手引きとして大井上氏が普及に努めたのが、栄養週期という考え方だったのです。この方法で育てた石原センテは確かに高品質で、農家に高収入をもたらしました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　しかし、一般の農家（以前書きましたが、一般の農家とは、アマチュア農家のことです）には栽培が難しいということで、政府は石原センテの品種登録を認めなかったそうです。そこで、大井上氏は、やむなく品種登録をあきらめ、商標登録でこの品種の権利、持続可能な種苗供給と栽培の体制を守りました。その登録商標が、「巨峰」（大日本巨峰会）です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　しかし、ビジネスパーソンとしての遵法感覚に欠ける農家や農協が多いため、登録商標「巨峰」は毎年日本全国のスーパーの店頭で権利が侵害されている有様です。多くの小売業の人たちも、この権利侵害の共犯者であることは自覚すべきでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　話がそれましたが、栄養週期は、大戦中から戦後の物資不足の中、肥料が手に入りにくい中でも、効率よくしっかり収穫できる栽培法として、この方法を知った農家からはずいぶんありがたがられたということです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ただ、戦後の重化学工業重視、農協中心の農業政策の中、少ない肥料で高品質多収穫が可能という栄養週期は、政府、工業界、そして農協にとっては邪魔者でした。化学肥料が売れなくては化学工業の振興に反するし、農協は日本最大の肥料販売店ですから、こんな話は許せないのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　また、植物の生長を詳細に観察してタイミングを過たずに肥料を切り替えるというのは、栽培にだけ時間を当てられる人、つまり専業農家、プロ農家にしかできない芸当です。このような栽培法は、兼業農家を増やして工業での働き手を増やそうとする高度成長期の産業政策にも反するものでした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　結局、大井上氏ら栄養週期実践者は、農業界から無視・黙殺され、栽培データをもって反論しようとすると、栽培の妨害や資料の改竄などの工作に悩まされたと言います。事実であれば、本当に嘆かわしいことです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　現在、コメは単なるカロリー源としてではなく、国産の安全でおいしい、付加価値の高い商品として見直されて来ています。世界的な穀物需給逼迫の流れの中、国内のコメの生産量も、今後盛り返していくでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　量が増えるということは、高品質のものからその対極のものまで、質が多様化するということです。つまり、高品質なコメは、さらに高級品としての磨きをかけていく流れになっていくでしょう。それは、プロ農家の仕事です。この流れの中で、国内に埋もれているいろいろな栽培法が見直されていくはずです。高品質、プロの技、そして資材を使う量を減らす環境に対する負荷の小ささから言って、栄養週期はその急先鋒の一つとなるはずです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;コラム担当：ライター　&lt;a href=&quot;http://www.saitosatoshi.com/&quot;&gt;齋藤訓之&lt;/a&gt;（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:creator>yasai</dc:creator>
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<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/07/post_b9fa.html">
<title>水田作に肥料はいらない？</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/07/post_b9fa.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
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&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;http://www.saitosatoshi.com/&quot;&gt;
齋藤訓之&lt;/a&gt;（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。
&lt;/p&gt;&lt;hr /&gt;


&lt;p&gt;　水田に肥料を施す量、その種類、あるいはそもそも肥料を使うかどうかにも、農家の考え方や、地域の気候風土、土壌の性質の差などが表れます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/07/04/photo008.jpg&quot; title=&quot;Photo008&quot; alt=&quot;Photo008&quot; /&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;写真：田植えの後に窒素肥料をまく／茨城県&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　かなり大ざっぱに言うと、東北、北陸など冷涼な地域では窒素成分を含む肥料をよりたくさん使う傾向があり、逆に温暖な地域では窒素肥料の使用は控える傾向があるようです。以前、「腕がいい」と言われる静岡のあるコメ農家を尋ねたときには、「窒素成分はなるべく入らないようにする。むしろ、全く入れないほうがいい」という説明に驚いたことがあります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　冷涼な地域と温暖な地域では、植物の生長の早さや肥料の効き方に違いがあるのでしょう。また、夏場に高温になる地域で、圃場に窒素肥料、特に完熟以前の堆肥などの有機質が含まれていた場合、それが発酵して土の中にガスが発生し、植物の根を傷めるということにもなり兼ねません。それぞれの農家は、水田に入れる窒素肥料の成分や分量を、そうしたことから総合的に判断しているのです。もちろん、自分では何も考えず、農協や農業改良普及員や肥料店に言われるままに肥料を買って施しているという農家も少なくありませんが、その場合は、農協、普及員、肥料店の腕が問われることになります。ちなみに、入れても入れなくても短期的には効果や障害が分からないリン酸などを増量して売り上げを稼ぐという悪徳を持った人や組織もあるものですが、この向きは近年やっと問題視されるようになってきました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ところで、肥料を全く施さない水田でも、イネは育つのでしょうか。一般論として、答えはイエスです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　では水田には、なぜ水を入れるか、考えたことがありますか？　それは、水稲が水を要求するからではありません。水稲は、水草などの水棲植物とは違って、畑でもちゃんと育つ植物です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;なぜ手間ひまをかけて水田という水を湛える圃場を作るのでしょうか。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/07/04/photo009.jpg&quot; title=&quot;Photo009&quot; alt=&quot;Photo009&quot; /&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;写真：陸稲ではなく水稲を育てている畑／茨城県&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　実は、水田の水は、イネに水分ではなく、窒素成分やミネラルなどの栄養を供給しているのです。水田に入る水は、元は雨水ですが、それが山に降り注ぎ、土
の表層の窒素成分（これは、土壌に留まりにくいものです。だからこそ、畑では毎年のように窒素肥料を施さなければならないのです）を溶かし、地下に入って
土や岩石に含まれるミネラルを溶かし、そうした成分を含んだ水が湖や川に集まって、水田に引き込まれます。その水に含まれる窒素やミネラルを、イネが活用
するのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　よく、「山の麓の谷地の田んぼでよいコメが取れる」というのは、山の栄養がダイレクトに注ぐ圃場だからという面があると考えられます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　また、雷雨が多いと、イネがよく育つとも言われます。これは、空気中の窒素が放電によって酸化したものが雨水に溶け、窒素成分の多い水になるからと考えられています。あの放電現象を「稲妻」と呼ぶのは、そうしたことを人々が経験的に理解していたからなのでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　このように、稲作に直接かかわりがなさそうな山野の恵みを生かすシステムが、水田という圃場なのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　日本国内の土壌は、肥料成分を土が保持する力（保肥力）は貧弱なものです。世界的に見ても、肥料を与えなくてもいいぐらいに保肥力のある土というのは、
ロシアのチェルノーゼム、北アメリカのプレーリーという土ぐらいのもので、世界のほとんどの地域で、作物を作るためには何らかの方法で肥料成分を供給する
仕組みが必要です。例えば、社会科で習ったように、ナイル川流域では、ナイル川の氾濫が、圃場に肥料を供給する仕組みとなり、非常に豊かな社会を生み出し
ました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　しかし、人が肥料をまくなどの仕事は、非常な労力を使い、しかも肥料成分のバランスを崩すと、圃場の力はむしろ落ちることになります。同じ場所で毎年同
じ作物を作っていると、そのようなアンバランスを生じやすいものです。加えて、その作物を好む病害虫も発生しやすくなります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　そうしたいろいろな原因による障害の原因を詳しく検証せず、十把一絡げに命名したものが「連作障害」という言葉です。これは、「頭痛」「食欲不振」など
と同じく現象を指す言葉で、障害の原因を指す言葉ではないことに注意する必要があります。おいしい食事に手を付けない人に「なぜ？」と聞いて、返ってくる
答えが「食欲不振だから」というのでは話になりません。そのように、不作の原因として「連作障害」という言葉しか使えないような農家は、あまり勉強をした
くない人と考える方が賢明です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　閑話休題。水田は、常に水が入れ替わり、いわば土を洗い続けるようなインフラと見ることもできます。また、窒素やミネラルのバランスは、水源の山野の状
態が左右し、環境破壊が進む昨今でも、これは恐らく人の心の変わり方よりはゆっくりで、バランスが崩れにくいものでしょう。そして、病害虫も比較的留まり
にくいものです。そんな、水田という優れた生産方法を発明した祖先がいたために、日本では毎年、同じ場所で、何千年にもわたって水稲を作り続けることがで
きるというはなれわざが可能になったのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/07/04/photo010.jpg&quot; title=&quot;Photo010&quot; alt=&quot;Photo010&quot; /&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;写真：水が千年単位の連作を可能にしている&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　戦後は、各種の肥料や資材が流通するようになって、コメの増産が可能になったとも言われますが、水田を見る際には、こうした基本的なメカニズムを、その農家がどうとらえているかにも注意しながら話を聞きたいものです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;コラム担当：ライター　&lt;a href=&quot;http://www.saitosatoshi.com/&quot;&gt;齋藤訓之&lt;/a&gt;（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;</content:encoded>


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<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/05/post_b042.html">
<title>水田の耕し方はさまざま。田植えについて農家に話を聞くならば、植える苗のことだけでなく、もちろん水田そのものについても尋ねてみたいものです。</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/05/post_b042.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
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&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;http://www.saitosatoshi.com/&quot;&gt;
齋藤訓之&lt;/a&gt;（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。
&lt;/p&gt;&lt;hr /&gt;


&lt;p&gt;　田植えについて農家に話を聞くならば、植える苗のことだけでなく、もちろん水田そのものについても尋ねてみたいものです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　一般には、田植えの前に、圃場を耕す作業、そして耕した土を平らにならす作業とが必要です。&lt;br /&gt;　従来、多くの地域で行政や農協が奨励してきた方法は、ロータリという作業機で圃場の土を撹拌し、そこに水を張って、代掻き機という板状の作業機を引っ張って土を平らにならしてきました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　しかし、この方法に異を唱える人もいます。まず、ロータリによる土の撹拌です。ロータリは、トラクタの後部に取り付けて引くように使う機械で、トラクタの進行方向に対して横方向に長い軸にたくさんの刃を取り付けたような形をしていて、この軸を回転させることで、刃が当たった土を砕きます。しかし、これは圃場表面の浅い部分の土を細かくするには好都合な機械ですが、深い部分の土には全く作用しません。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ロータリを使い続け、しかも化学肥料などを使うばかりで植物の残さや堆肥などの有機物を圃場に入れずに長い年月が経つと、圃場はトラクタの重みと泥によって締め付けられるばかりで、どんどん硬くなります。硬くなると、水田の水が地下に抜けにくくなるというメリットはありますが（水が抜けやすい水田を「ザル田」などと呼び、通常嫌がられます）、イネが根を張りづらくなって生長が悪くなり、また倒れやすくもなります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　これに対して、圃場を全く耕さない、「不耕起」という過激な方法を取る農家も表れています。前作の稲刈りの後、イネの株をそのまま圃場に残し、次回まで全く耕さず、代掻きもしないというやり方です。圃場に残ったイネの株は、次回までに朽ちて、その残さが堆肥のように働き、圃場を自然に軟らかくするというわけです。イネ科の植物は土壌中の病害虫の原因を抑える作用があるとも言われていますので、その効果も期待されているようです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　不耕起栽培を実践する農家は、多くの場合、冬季湛水といって、冬場も水田に水を湛えておくこともします。水によって、雑草の種子を窒息させたり、残さの分解を早めたり、またカエルやメダカ、その他水棲の肉食動物を温存して殺虫剤の使用を抑えることも狙うのです。しかし、これは水利権という厳しく難しい問題が関わってきますので、すべての農家が簡単に取り組める方法ではありません。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　一方、プラウという作業機を使う人も増えてきました。プラウは、欧米式の鋤（スキ）で、湾曲した大きなナイフを土に差し込んで、圃場の深い部分の土を上に、表面の土を下にひっくり返していく道具です。これを使うと、深い部分にたまった有機質が圃場表面にさらされることで酸化し、それが肥料として効きやすくなります。その上、圃場表面にあった雑草の種子などが深いところに閉じこめられて窒息し、雑草が生えにくくなるという効果もあります。&lt;br /&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/05/23/photo004.jpg&quot; title=&quot;Photo004&quot; alt=&quot;Photo004&quot; /&gt;
&lt;br /&gt;写真4：プラウ&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　また、サブソイラという作業機で、ケーキにナイフを入れるように土壌を切り裂き、圃場表面にたまった水や、水に含まれる空気を圃場の下の方まで行き渡らせるということも行われます。これらによって、硬く締まった圃場の物理性を改善し、イネの根が張りやすくするのです。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　プラウを使うと、圃場を平らにならしにくくなる、水が地下に抜けてしまうと考えて、ロータリだけを使うという人も少なくなく、むしろそれが主流です。し
かし、プラウの導入で肥料のコストが下がった、雑草を退治できたという農家も多いものです。それぞれの圃場の土質、地下構造の違いによって、効果や使用感
に違いがあり、農家の考え方も異なってきます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　また、近年はプラウとサブソイラ両方の利点を持つプラソイラという作業機も開発され、プラウは嫌いという農家にもユーザーを広げています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/05/23/photo005.jpg&quot; title=&quot;Photo005&quot; alt=&quot;Photo005&quot; /&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;写真5：プラソイラ&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ところで、せっかくプラウやプラソイラなどで圃場が硬くなるのを防いでも、その後の代掻きで土を練ってしまい、結局また圃場を硬くしたり、水や空気の通
りづらい圃場にしてしまうという心配をする農家もいます。子どもの頃、泥んこ遊びをした人なら、このことは分かると思います。水で練った土は、土の粒子同
士の間に含まれていた空気が泥水によって追い出され、乾くととても硬くなります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ならば、いっそ代掻きなどやめてしまえばいいと考えるかも知れません。しかし、水田の表面が平らでないと、いろいろと困ったことが起きてきます。まず、
水の行き渡り方に差が出ると、イネの生長にも差を生じます。そして、浅い部分では、雑草も生えやすくなり、そこはイネの生長もよくないため、イネに勝って
しまうのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/05/23/photo006.jpg&quot; title=&quot;Photo006&quot; alt=&quot;Photo006&quot; /&gt;
&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;写真6：圃場の中に浅い部分があったために雑草が生えた水田／福井県&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　そこで注目されるようになったのが、レーザー光線を使ったシステムです。トラクタの後ろに太いコイル状の作業機を取り付け、これを回転させながら引いて
土をならすのですが、この作業機には垂直に高く伸ばしたポールが付いていて、その先端にレーザー光線の受光装置を取り付けています。&lt;/p&gt;&lt;br /&gt;&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/05/23/photo007a.jpg&quot; title=&quot;Photo007a&quot; alt=&quot;Photo007a&quot; /&gt;　&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/05/23/photo007b.jpg&quot; title=&quot;Photo007b&quot; alt=&quot;Photo007b&quot; /&gt;

&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;写真7：レーザー均平システム。発光器（左）からのレーザー光線を作業機（右）が受けて作業を行う&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　作業をする際、圃場の片隅にレーザー光線を一定の高さで水平に発する装置を起き、トラクタに付けた作業機が、常にこのレーザー光線の高さを基準として、
圃場に対して作用するようにします。もともと土木工事で発達したシステムですが、これを使うと広大な面積の圃場の表面に全く起伏や傾斜がない状態を作るこ
とができます。それだけでなく、レーザー光線を傾ければ、例えば100m進む間に落差が上下5cmという微妙な傾斜を付け、圃場に入った水が入口から出口
まで少しずつ流れるようにすることも可能です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　この作業は圃場に水を入れる前に行うので、代掻きをして圃場の土を練り、田の表面全体を目止めをするように水や空気の流れを遮断してしまうことを避けることができます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
コラム担当：ライター　&lt;a href=&quot;http://www.saitosatoshi.com/&quot;&gt;齋藤訓之&lt;/a&gt;（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:creator>yasai</dc:creator>
<dc:date>2008-05-23T18:58:06+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/05/post_c7b5.html">
<title>田植えの時期と方法から、農家の考え方を聞き出す</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/05/post_c7b5.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/banner_rnnogyo.gif&quot; /&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;http://www.saitosatoshi.com/&quot;&gt;
齋藤訓之&lt;/a&gt;（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。
&lt;/p&gt;&lt;hr /&gt;



&lt;p&gt;　関東地方をはじめ、多くの地域で田植えシーズンがたけなわを迎えています。この時期の水田を観察すると、それぞれの農家の考え方がかなり分かり、面白いものです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　まず、いつ田植えをするか。現在、国内のかなりの農家がゴールデンウイークの最中に田植えを行います。これは、植物にとっての適期というよりは、経営的な事情によることが多いものです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　今の日本のコメ農家のほとんどは、「本業はサラリーマンで、たまたま家に農地がある」というタイプの兼業農家です。この場合、ウイークデーに農作業をするということは難しく、特に田植えという大イベントは連休に行いたいと考えるわけです。連休中であれば、準備、田植え、片付けの一連の作業を1日で終えることができなくても大丈夫ですし、普段遠隔地にいる家族や親戚に手伝いに来てもらうこともでき、古来そうであったように、田植えが家族や地域の絆を強化する行事ともなるわけです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/05/08/photo001.jpg&quot; title=&quot;Photo001&quot; alt=&quot;Photo001&quot; /&gt;
&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;写真1：田植えの終わった水田／茨城県

&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　農業が本業という専業農家、中でも特に積極的な経営を行う農家のことを、農村では「プロ農家」と呼んでいます。つまり、それ以外の多数派は「アマチュア農家」というわけで、都会の人にはびっくりするような話かも知れませんが、これが今日の日本の農業の姿です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　さて、その専業農家、プロ農家の多くは、連休の後～5月下旬にかけて田植えをする場合が多いようです。とりわけ、稲作の裏作にムギを作る場合は、ムギを刈り取って圃場が落ち着いた後、6月に田植えをすることになります。ムギを作らない場合でも、地域や品種にもよりますが、「イネにとっては6月に植えるのが、本来の適期」と言う人もいます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　逆に、4月中に田植えを済ませてしまう人もいます。これは早生品種を植えて早場米の出荷を狙う場合がほとんどでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　植える苗にも、いろいろな種類があります。現在は、多くの農家は、苗を自分で作らず、買って来ます。これは、兼業農家だけでなく、プロ農家にも多いものです。田植えに失敗は許されません。いざ田植えという段階になって、苗がうまく育たなかったとか、足りなかったということでは、その年1年がパーになります。そういうことがないように、きちんと管理された育苗施設でプロが育てた苗を使いたいという農家は多いのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　では、その売っている苗は、誰が作っているのでしょうか。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;それは、地域の農協や、考え方が同じ生産者のグループや、一部のプロ農家です。農協の苗も、実際に育てる作業をしてるのは、地域で信頼されているプロ農家であったりします。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/05/08/photo002.jpg&quot; title=&quot;Photo002&quot; alt=&quot;Photo002&quot; /&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;写真2：苗箱に種モミをまく作業／民間稲作研究所＝栃木県&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　苗は、一般的には苗箱という板状の箱に土を薄く敷き詰めて、そこに種モミをまいて育てます。苗箱のサイズには規格があります。それは、毛足の長いじゅう
たんのような苗の固まりを田植機にセットして使うためです。どのメーカーのどの田植機にもセットできる苗箱のサイズは決まっているのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　ただ、これに敷く土は、地域や苗を作る農家によってさまざまです。山から取ってくるという人もいれば、この土も農協や農業資材メーカーなどから買うとい
う人もいます。イネが最初に触れる土の栄養状態が適切でなかったり、病原菌を持っていては、大切な育苗に失敗してしまいます。特に、プロ農家と呼ばれる人
に、土も買うという傾向が強いようです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　種モミはどうでしょうか。これも、買ってくるのが主流です。農協や、農業資材店から買います。たいていは、都道府県ごとに決めている指定品種、奨励品種
の種モミを買いますが、他府県のプロ農家や種苗メーカーから買う場合もあります。それは、自分の地域の指定品種に納得がいかないという農家や、他の人が
やっていない品種にチャレンジしたいという場合です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　また、現在はコメで有機栽培の認証を受けるには、種モミや土を消毒するために化学物質を使わない方法で育苗したものを手に入れなければなりませんが、一
般に販売を目的にこのような育苗を行っている生産者は少なく、自分で育苗しないという場合は、他府県で探さざるを得ないという場合も多いのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/05/08/photo003.jpg&quot; title=&quot;Photo003&quot; alt=&quot;Photo003&quot; /&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
★写真3：有機栽培の認証を受けた種モミを生産する圃場／民間稲作研究所＝栃木&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　田植えの時期の農家はとても忙しいので、その真っ最中に訪ねるのは避けた方がいいかも知れません。親しくなれば、「手伝いに行きます」と言って、その実
足手まといになっても笑って受け容れてくれるかも知れませんが、なるべく田植えが終わった頃に訪ねるのがいいでしょう。その折に、上記のような話題を振れ
ば、それぞれの農家が自分の考えと実際にやったことを、ゆっくり分かりやすく説明してくれるでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
コラム担当：ライター　&lt;a href=&quot;http://www.saitosatoshi.com/&quot;&gt;齋藤訓之&lt;/a&gt;（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:creator>yasai</dc:creator>
<dc:date>2008-05-08T17:47:40+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/03/post_335a.html">
<title>コシヒカリの人気低下はコメ人気上昇の前触れ</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/03/post_335a.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/banner_rnnogyo.gif&quot; /&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。
&lt;/p&gt;&lt;hr /&gt;



&lt;p&gt;　コメの品種に、新しい波が打ち寄せています。まだ小さなうねりのようなものですが、遠からず大きな波となって、コメ生産と消費の様子は大きく変わるでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　昨年、新潟県産コシヒカリは、2007年産米が出回るまでに、2006年産を大量に売り残したと言われています。北海道のある農家から聞いた話ですが、昨年、新潟県のコメ農家が北海道の稲作地帯を視察に来た際、近年の北海道産米の品質の良さをほめ、「最近は新潟産が売れなくて。新潟もがんばらなければ」と漏らしたと言います。それが、一農家のつぶやきではなく、市場の現実としてはっきりしてしまったわけです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　新潟県産米の低調の原因としては、さまざまなことが言われていますが、私個人の読みとしては、原因は二つだと考えています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　一つは、味などの品質面で、他の産地にも新潟県産コシヒカリに劣らないものがたくさんあるという理解が、流通業や消費者などに行き渡って来たことがあるはずです。新潟県産コシヒカリは、以前高い値段で取引されていますが、市場の価格は必ずしも品質だけが左右するものではありません。イメージや希少性、「これまで売れた」という実績なども影響します。そこでもし「新潟コシヒカリと味は同等か、むしろ良い」というコメがあれば、新潟県産は高いだけ不利になります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　いま一つは、「新潟県産コシヒカリ」にケチが付いたということです。2005年作から、新潟県と県下の農協は従来のコシヒカリに変わって、コシヒカリ新潟BLという、病気（イモチ病）に強い新しい品種のシリーズの作付けを農家に勧めました。勧めるといっても、新潟県で従来のコシヒカリを作付けたいという農家は、県外から種モミを入手しなければなりませんし、出荷も農協には頼めず、自分で売り切る覚悟が必要になりますから、事実上の強制ということになるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;
　新潟県では、このコシヒカリ新潟BLを「新潟県産コシヒカリ」の名称で売ることにしました。従来のコシヒカリも「新潟県産コシヒカリ」の名称で売ってい
いことになっていますが、コシヒカリ新潟BLを導入したもう一つの狙いは、DNA鑑定で新潟県だけで作付けされるコシヒカリ新潟BLを見分けることを可能
にし、他の品種は「新潟県産でない」と排除することでした。つまり、苦労して従来のコシヒカリの種モミを入手して作付けた農家は、流通の段階でも県のお墨
付きをもらいにくく、苦労すると考えられます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　新潟県のこのやり方に対して、新潟の一部の農家は反発し、都市の米穀店などからも、このような不自由な管理を批判する声が上がりました。批判するサイド
が問題にする主な論点は、「別な品種を同じブランドで売るのはおかしい」とする点と、「味は従来のコシヒカリと同等と言うが、疑問がある」とする点の2点
です。これについては、今日に至るまでさまざまな議論がされています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　県サイドと批判サイドと、どちらが正しいか。これに結着を付けることは難しいでしょう。一つの問題が、自然科学と経済と味覚と心理という全く異なる基準で論じられ、収拾が付かない様相を呈しているからです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　ただ、一つ言えることは、「『新潟県産コシヒカリ』はもめ事を抱えている」という形でケチが付いたということです。消費者は、もめ事の結論が出るのなど
待ちません。「どうも新潟県産コシヒカリは、コシヒカリではないらしい」といった不確かな情報が漏れはじめ、「味が同じなのか、どっちかがまずいのか、結
論が出ていないようだ」などと噂されれば、それだけでお客は避けるようになります。消費者のその動きを予測すれば、コメ問屋としても、それを扱うのにはリ
スクがあるということになるでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　このような“お家騒動”や、新潟県産コシヒカリの不人気が続けば、新潟県の農家も、コシヒカリ以外の品種の栽培を考えざるを得なくなっていくでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　そして、このことの影響は、やがて他の都道府県にも波及していくはずです。「あの新潟」にして、「コシヒカリ」の価値が下がるということでは、どこ産で
あろうともコシヒカリは支持されにくい品種になっていく可能性があります。これは、コシヒカリの価値が一度にガクンと落ちるというのではなく、「コシヒカ
リはいろいろな良い品種の中の一つ」という理解のされ方に変わっていくと思われます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/03/07/saito0802_02.jpg&quot; title=&quot;Saito0802_02&quot; alt=&quot;Saito0802_02&quot; /&gt; 植え付け直後の水田（茨城県）
&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　しかし、このことは決して悲しむべきことではありません。&lt;br /&gt;
　日本全国津々浦々、誰もがこぞってコシヒカリを栽培しようとしていたこれまでに変わって、全国で様々な品種のコメが栽培されていくことになります。従
来、味で評価されにくかった北海道産米が、現在は新潟県農家をうならせるほどの人気を得ているのも、品種改良で地域に合った品種が出来たためですが、同様
のことが全国各地について起きてくるでしょう。消費者も、自分の好みや、一緒に食べる料理、食べるシチュエーションによって様々なコメを存分に選ぶことが
できるようになるでしょう。もちろん、飲食店も、自分の店の料理に合うコメを選びやすくなります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　このように、コメの選択の幅が広がり、食べる側の個性が認められるようになれば、自ずとコメの消費は伸びていくはずです。例えば、どこの洋服屋さんでも
同じ服しか売っていなければ、誰も服をたくさん買おうなどとは考えません。いろいろな店があって、それぞれにいろいろな服を売っているから、ファッション
業界は元気なのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　それと同じことが、やっとコメ流通の世界にも起こって来るのです。この多様化は、コメの需要を増やし、市場を膨らませます。折からの輸入穀物の高騰もあり、今後、コメへの関心はさらに高まるでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　飲食店も、のんびり構えているわけにはいきません。今までのように、メニュー表に「コシヒカリ使用」と書けば売れるような平穏な時代は終わったのです。
どこで、どんな人が、どんな品種を、どのように栽培しているか ――
この情報収集競争を闘わなくてはなりません。そのライバルには、同業者だけでなく、外ならぬお客も含まれます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
コラム担当：ライター　齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:creator>yasai</dc:creator>
<dc:date>2008-03-07T14:58:06+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/02/post_80fa.html">
<title>米国と比べて分かる、日本のジャガイモ生産事情</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/02/post_80fa.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/banner_rnnogyo.gif&quot; /&gt;&lt;br /&gt;
齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　関東ではそろそろジャガイモを植え付ける時期です。 国連は2008年を&lt;a href=&quot;http://www.unic.or.jp/new/pr07-045-J.htm&quot;&gt;「国際ポテト年」（International Year of Potato, 2008）&lt;/a&gt;と宣言しています。食料の不安をなくし、貧困を根絶する狙いで、さまざまな機関がジャガイモに関する催しを行うことを予定しています。飲食店にとっても、ジャガイモ料理をアピールするよいチャンスかも知れません。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ところで、ファストフードでフライドポテトを食べるたびに、みなさんは不思議に思いませんか。日頃、国内で料理に使うジャガイモは、せいぜい握り拳ぐらいの大きさでしかありませんが、ファストフードで提供しているフライドポテトには、その直径より1.5～2倍程度の長さのものが含まれています。日本国内ではなかなかお目にかかれない代物です。&lt;br /&gt;「きっと、マッシュしたものを成形して揚げているんだ」と思うかもしれませんが、そんなことはありません（もちろん、そういう製品もありますが）。米国では、両手でも包み切れないほどの大きさのジャガイモが取れるのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　米国でフライドポテトなどの加工原料として生産されるジャガイモの主力品種はラセット・バーバンクといいます。大きく、でこぼこが少ない、厨房や工場で扱いやすいイモが取れます。しかし、以前、日本の研究者がこれを持ち帰って、北海道で栽培したことがあるそうですが、どうしても米国でのような大きさに育たなかったそうです。そうすると、日本と米国でのジャガイモの大きさの違いは、品種だけによるものではなさそうだと考えられます。恐らく、気候風土による違いが大きいでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　以前訪ねたワシントン州（米国の北西端。スターバックス、イチローのシアトル・マリナーズ、マイクロソフトの本拠地、シアトルがある州）のジャガイモ畑は、砂漠の中にありました。砂漠ですから、夏季の日中は灼熱地獄、夜間は氷点下にもなるほど冷えるような場所です。そのど真ん中に水量豊かな川が一本流れていて、その水をくみ上げて、圃場に人工的に潅水します。こんな場所ですから、虫や病気が少なく、農薬や化学肥料の使用量を少なくでき、ローコストで栽培できます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　土はさらさらした火山灰で、栄養はあまりないようですが、ジャガイモが養分を求めて広く深く根を生やすには好都合です。これに加えて、降雨が少なく日照時間が長いことや寒暖の差が、イモを太らせるのだと考えられます。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　圃場の形も、日本とは大違い。1つの面積が数十haという巨大な円形で、潅水などの管理は完全に機械化しています。私が訪ねた農家は、そんな大きな圃場を100枚持っていて、全体の面積は東京の千代田区ほど。それを通常はたったの4人のスタッフでコンピュータ管理し、収穫などの農繁期には出稼ぎ労働者を雇うということでした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　これでは、日本のジャガイモは勝ち目がなさそうです。日本は降雨が多く、米国の砂漠地帯に比べると日照時間は遙かに少ない。しかも温暖ですから、病気も発生しやすい。国土は山あり谷ありで起伏に富み、多少広い農業地帯があったとしても、圃場は所有者ごとに細切れで1枚ごとの圃場はとても狭い。大型の自動潅水施設はおろか、大型のトラクタも入れません。米国のようなジャガイモ生産はできないのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　また、品種もなかなかいいものが出て来ません。米国ではラセット・バーバンクの他に、用途や作付ける地域に適した品種が毎年のように多数開発されていますが、日本はどうでしょうか。通常、手に入るものとしては、男爵とメークイン、最近やっと増えてきたキタアカリぐらいのものでしょう。男爵などは、土佐出身で函館どつくの中興の祖川田龍吉男爵が明治後期に米国から持ち帰ったもので、100年前の品種です。日本のジャガイモ生産は、どうも時が止まっているようです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　それは、日本のジャガイモ生産が主にでん粉原料（通称デンゲン）生産のために奨励された歴史があるためで、料理に使うというのは、全体から見ればほんのついでの生産でした。それで、あまり変化の必要がなかったのです。日本には、コメという栽培しやすくみんなが好きな穀物がありますから、これはある意味しかたのないことです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　しかし、戦後、カレーライスやシチューなどでジャガイモの使用が増え始め、農家のジャガイモ生産に対する姿勢は少しずつ変わって来ました。機械に放り込んですりつぶし、粉にしてしまう“工業原料”ではなく、人が丁寧に皮を剥いて料理をするための“食材”として、育て方や、傷を付けずみてくれよく収穫するようになってきたのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; alt=&quot;Saito0802_01&quot; title=&quot;Saito0802_01&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/02/22/saito0802_01.jpg&quot; /&gt; 
&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;span style=&quot;font-size: 0.8em;&quot;&gt;大規模なジャガイモ圃場（宮城県）&lt;/span&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　そして、大きな風穴を開けたのが、ポテトチップスの流行と定番としての定着です。ポテトチップスは、製造後の鮮度と流通の効率を考えると、海外で生産するわけにはいきません。また、その原料となる生のジャガイモは、検疫上の理由から今のところ原則として輸入できないことになっています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　そこで、カルビーなどの菓子メーカーは国内でジャガイモを調達することにしたわけですが、農家は「加工原料＝デンゲンと同じ＝安く買いたたかれる」と、なかなか乗り気になりませんでした。しかし、これは誤解だったのです。実は、ポテトチップス用のジャガイモは、生食用以上に丁寧に育て、収穫しなければ、揚げたときに焦げなどの不具合を容易に生じます。その分、菓子メーカーが農家から買い取る価格も、相応に高く設定されているのです。これに奮起した農家は、生産の技術を上げ、新品種導入にも積極的な姿勢を見せています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　現在、ポテトチップス用のジャガイモ生産者は、必ずしも生食用ジャガイモ生産者とイコールではありませんが、ポテトチップス用ジャガイモで培われた生産のノウハウ、農業機械の形と使い方などは、日本のジャガイモ生産の技術力アップに少なからず貢献していると言えます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　デンゲンが日本にジャガイモ生産を定着させ、ポテトチップスが栽培技術を向上させ、様々な品種の導入のきっかけにもなりつつあります。日本のジャガイモ生産がさらに次のステップに進むとしたら、外食産業はどんな貢献ができそうでしょうか。外食に携わる方には、そのイメージもぜひ持ってもらいたいと思います。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;コラム担当：ライター　齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:creator>yasai</dc:creator>
<dc:date>2008-02-22T16:59:28+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/01/post_395b.html">
<title>シシリアンルージュが提案する新しい食事</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/01/post_395b.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/banner_rnnogyo.gif&quot; /&gt;&lt;br /&gt;
齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　東京・虎ノ門のそば店「さ和長」で、「シシリアンルージュ鍋」（2500円）というものを提供している。「シシリアンルージュ」というのは中玉のトマトの名前だ。&lt;/p&gt;

&lt;table&gt;
&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;
&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/01/23/sr01_3.jpg&quot; title=&quot;Sr01_3&quot; alt=&quot;Sr01_3&quot; /&gt;&lt;/td&gt;
&lt;td&gt;&lt;span style=&quot;color: #339900;&quot;&gt;シシリアンルージュは&lt;br /&gt;手のひらに収まる&lt;br /&gt;中玉サイズのトマト&lt;/span&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;

&lt;p&gt;　注文すると、湯むきしたシシリアンルージュが鉄鍋にたっぷり盛り込まれて出て来る。&lt;br /&gt;これに塩を振って火に掛け、トマトがとろけたところでカキと薄切りの豚バラ肉を入れて、グツグツと煮込む。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　タレなどは付けず、湯気の立つカキや豚肉をトマトといっしょにせっせと口に運ぶ。トマト、カキ、豚肉のうま味が引き立て合って濃厚な味を感じるが、さっぱりとして後味がよい。こういうものにはワインが合うかと思ったが、暮れに食べに行った折には、同行の全員が日本酒を飲みながら箸が止まらなくなり、トマトのお代わりを重ねて、男性4人で合計3kgものシシリアンルージュを平らげてしまった。&lt;/p&gt;

&lt;table&gt;
&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;img border=&quot;0&quot; src=&quot;http://www.restaurants-news.com/photos/uncategorized/2008/01/23/sr03_2.jpg&quot; title=&quot;Sr03_2&quot; alt=&quot;Sr03_2&quot; style=&quot;margin: 0px 5px 5px 0px;&quot; /&gt;&lt;/td&gt;
&lt;td&gt;&lt;span style=&quot;color: #339900;&quot;&gt;シシリアンルージュ鍋。&lt;br /&gt;水分はトマトからのみで、&lt;br /&gt;出汁などは加えない&lt;/span&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　「トマトでも他の野菜でも、1食で750gも食べるということはなかなかない」と互いに驚きながら（店の人がいちばん驚いていた）、シシリアンルージュというトマトの可能性を改めて考えさせられた。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　シシリアンルージュは、2005年に日本で売り出された新しい品種だ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　パイオニアエコサイエンス株式会社（東京都港区、竹下達夫社長）という種苗ベンチャーが、イタリア・シチリアの天才的なトマト育種家マウロ氏に依頼して開発した調理用トマトで、グルタミン酸を100g当たり27mg含むという濃厚なうま味を特徴とする。しかも、加熱調理すると、このグルタミン酸が同32mgに増える。これは、一般的な国産赤色ミニトマトの2倍を超える量だ。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　また、この品種にほれ込んでいる、イタリアン「カ・アンジェリ」（東京・表参道）の佐竹弘シェフによれば、ただうま味が強いだけではないという。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;「固形分が多く繊維がしっかりしているため、加熱しても水分が分離しにくい。湯むきしてソテーパンで温めると30秒ほどで軟らかくなるが、水が出ることなくペースト状になるため、パスタなどにもよくからみやすい。湯むきも、手の中に握るようにすれば1回の動作でツルリとむけて、作業がしやすい」。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　佐竹シェフは、このシシリアンルージュの特徴を生かした料理の試作を重ねた結果、「“シシリアンルージュ”のフルコース」（5040円）をヒット商品に育てている。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　そして、この味と使い勝手のよさは、もちろん家庭でも生きる。簡単にスパゲティを作るなら、シシリアンルージュを湯むきせずに半割にカットしてソテーすればいい。このスピードは、レトルトのスパゲティ・ソースを湯煎するよりも速い。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　冒頭で紹介した「シシリアンルージュ鍋」も、味だけでなく、準備のしやすさが特徴だ。家庭で一般的な寄せ鍋を作るなら、さまざまな野菜や魚介類をそれぞれにカットしなければならないが、「シシリアンルージュ鍋」の下ごしらえは、トマトを湯むきするだけだ。後は加熱調理用のカキをパックから出して水洗いし、豚バラ肉はスライスを買ってくれば鍋に放り込めばいい。これだけ簡単で、味がよく、しかも大量の野菜が摂れるヘルシーメニューとなれば、日露戦争の前後に、当時中国で開発されたばかりのハクサイがもたらされて鍋料理に不可欠な食材となって以来の、“鍋革命”になるかもしれない。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;シシリアンルージュの育種は「消費」側の観点から&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　種苗を販売するパイオニアエコサイエンスの竹下社長によれば、シシリアンルージュの開発の狙いは、まさにその味と手軽さにあったという。「加熱してうまいトマトは、イタリアには他にもたくさんの品種がある。しかし、下ごしらえや調理に時間がかかるのでは、忙しい日本の消費者には受け容れられない。だから、マウロに依頼したのは、日本人向けにうま味が特に濃厚で、しかも調理時間が早い品種を作って欲しいということだった。彼は自分で持っているたくさんのトマトの品種と、長年培った知識と勘で、その要望に応えてくれた」。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　実は、野菜について言えば、このような品種開発の仕方は、極めて今日的なものだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;というのは、従来の日本の農産物の育種では、消費の視点は重視されて来なかったのだ。種苗メーカーが第一に考えることは、栽培しやすいことだった。これは成育期間が短いとか、病気に強いといったことだ。そして第二に重視されたのは、流通のしやすさだ。これは、丸いものはまん丸に、長いものはまっすぐになど、形状が揃っていて箱詰めがしやすいこと。そして、収穫してからできるだけ長い間、色や形状を保つといった棚持ちのよさも含まれる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　育種がそのような狙いを重視して行われた結果、味は悪いとまでは言わなくとも、ベストではないものが一般的だった。一方、皮が厚い、実が硬い、そのため調理がしづらいといったものも多かった。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　それは、かつては食品は安定的に量が揃うことが重要だったからだ。行政と農業関係者は、戦後の物不足、東京や大阪などの急拡大による、大都市での野菜欠乏といった問題の解決に知恵を絞ってきた。また、流通業は、海外産地の開発を推し進めてきた。&lt;br /&gt;　その結果、現代は、特別な天候不順でもなければ、幸いなことに農産物の量そのものが不足するということはほとんどなくなった。ものが豊富になれば、当然「選ばれる」ための競争が起こる。そこで問われるのは、もちろん栽培や流通のしやすさではなく、消費の段階での性能、すなわち、味と使いやすさだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　また、今日ヒット商品となるためには、新しい生活の提案が不可欠でもある。かつて「ウォークマン」は、外出先でも自分だけの音楽を楽しむという新しい提案でヒットを飛ばし、オーディオ製品の市場を拡大した。今日では、「iPod」が、好きな音楽を自由自在に集めて楽しむという提案をして、オーディオ製品とパソコンの垣根を取り払い、ハードウエアとソフト（音楽、映像）の垣根さえ取り払って新しい市場を作った。そもそも外食でも、ファストフードやファミリーレストランは、単に味だけで売ったのではなく、新しい食事の提案だった。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　シシリアンルージュは、味と使いやすさの他に、従来生で食べるものだったトマトを、調理して食べる食品として提案し、日本になかった市場を作ろうとしている。その意味で、現代の消費社会の商品らしい作物だ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ただし、野菜に求められているこの種の変化に対して、生産者の動きは決して機敏ではない。「調理用トマト＝特殊なもの＝売れない」という固定観念がまだまだ支配的で、しかもギリギリの採算で経営している農家が多いため、リスクを取って新しい商品に挑戦するという空気は、農村には希薄だ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　都内に「シシリアンルージュは知っているし使いたいが、手に入らない」というシェフたちは多いし、「ブログでシシリアンルージュというトマトを知って、買おうと思ったら一部のデパ地下でしか手に入らなかった」と不平をもらす消費者もこれまた多い。生産者が未だに「量の欠乏」を心配し続けているために、都市では「質の欠乏」が起こっているわけだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;コラム担当：ライター　齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;「さ和長」&lt;br /&gt;東京都港区赤坂1-4-8&lt;br /&gt;電話03-3584-9968&lt;br /&gt;営業時間11：30～14：00、17：00～21：00&lt;br /&gt;定休日／土日&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;「カ・アンジェリ」&lt;br /&gt;東京都港区南青山3-10-32 青山森田ビル1F &lt;br /&gt;電話.03-3423-1224&lt;br /&gt;営業時間11：30～14：00、18:00～22:00&lt;br /&gt;定休日／日&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:creator>yasai</dc:creator>
<dc:date>2008-01-23T15:27:49+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/01/post_0617.html">
<title>(2)国産農産物に、いま猛烈なフォローの風が吹いている（つづき）</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2008/01/post_0617.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/banner_rnnogyo.gif&quot; /&gt;&lt;br /&gt;
齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;農家とWin-Winの関係を築けるか&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　一方、食品メーカー、小売業、外食業などの需用者
は、買うのが上手と言えるでしょうか。それぞれの会社に、農産物の目利きはいるかもしれません。市場で野菜を上手に選んでくる料理人もたくさんいます。で
も、本当に使いたいものを生産地に入り込んで作ってもらうことができる人は少ないものです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　農村に足を向けるバイヤーも確かにいます。でも、多
くの農家は、都市からバイヤーが来るとまず警戒します。農家の多くが、農業以外の仕事をしている人を「商人」と呼びます。農家と話をしていて感じるこの語
のニュアンスは「よそ者」であり、「安く買って高く売るずる賢い連中」というものです。たいへん残念なことですが、「人をだます相手だから、こっちがだま
し返しても当然だ」と考えている農家もいます。栽培技術や経営の先進性で国から表彰されるような、“立派な”農家にさえ、います。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　しかし彼らを
責めるわけにはいかないかもしれません。それは、1000年、2000年の長い歴史の中で培われた、農家が生き抜くための勘の一つだからです。問題は、そ
の歴史を乗り越え、農家の心を開くことが、一部の優れたバイヤーにはできているにせよ、食品メーカーなり、小売業なり、外食業なりが、業界としてはできて
いないということです。&lt;br /&gt;　かくして、農家は売れるチャンスを目前にし、需用者は作ってもらうチャンス、買えるチャンスを目前にしながら、なかなかものが動かないというのが現状です。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　ここで、もし食品メーカー、小売業、外食業に、こんな人が現れれば、状況は変わるのです――すなわち、日本の農業の状況をよく理解し、個別の地域に行けばそこの状況を正しく分析できる人。買いたたきに来たのではなく、お互いのベネフィットをお互いに創造し合うWin-Winの関係を築きに来たのだと、なるべく早く理解してもらい、相手にもそうした働きを促して、実際にそうできる人。農産物だけでなく、農家を見て、圃場を見て、倉庫を見て、その農家の人となり実力を見抜ける人。実力に応じて、取引を始めたり、実力が不足な人には、実力を引き上げるチャンスを作れる人。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　かなり難しく思えるかもしれません。しかし、どの産業でも、優れた会社にはこのような役割を担っている人がいるものです。かけ離れて感じられるかもしれませんが、例えばトヨタ自動車は、あの会社が単独で出来ているのではありません。優れた中小企業集団をパートナーとして持ち、各パートナー企業が自発的に技術開発や効率経営に取り組めるような関係を築き、最終的な製品像をパートナー企業と共同で作り、それに必要な部品を各パートナー企業が生産し、その関わりの全体で“トヨタ”というブランドを作ってきたのです。また、食品に関する分野にも、少数ですが、農家とそのようなパートナーシップを築いてる例はあります。それは回を改めて具体的に紹介することにします。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;外食の本業専心が農業を変える&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　今回は茨城県のある地域のことを例に取り上げましたが、このように積年の歪みから農業がうまく行かなくなり、何かをきっかけに新しい生産の体系を築く必要に迫られている地域は、日本中にあります。これまでは、行政がそれを何とかしようとして来ましたが、行政が得意でないこと、制限がかかることもあります。ものの売り買いの具体的な道筋を付けることは、その最たるものです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　本来、その部分を最も得意とするのは、食品メーカー、小売業、外食業です。「日本農業を活性化する」と言って、自ら農場を持ったり、営農をすることもいいかもしれませんが、その前にやること、より影響力の大きなことはそういうことではありません。今、フォローの風が吹いている国産農産物を使った売れる商品を企画し、それを農家に理解してもらい、それを実現できる優れた農産物を生産してもらうことです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　この取り組みをするには、大企業である必要はありません。農家には、外食業と同じく、大規模な経営の人もいれば、家族経営の人もたくさんいます。それぞれの規模同士で、身の丈に合った関係を築くことと、その成功体験で得られたノウハウを同業者間で共有することで、日本の農業や食の市場を大きく変えていくことができるのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　この冒険に役立つ情報をなるべくたくさん用意したいと思います。このシリーズへの要望など、ぜひどしどしお寄せください。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;コラム担当：ライター　齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:creator>yasai</dc:creator>
<dc:date>2008-01-16T19:47:50+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2007/12/2_ef1e.html">
<title>(2)国産農産物に、いま猛烈なフォローの風が吹いている</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2007/12/2_ef1e.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/banner_rnnogyo.gif&quot; /&gt;&lt;br /&gt;
齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;&lt;br /&gt;&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;風害抑制のための麦を誰に買ってもらうか&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　風害に対して、県などの行政も指をくわえて見ているわけにはいかないということになり、最近は農家に冬場の麦作を呼びかけたり、緑肥といって、実の収穫を目的にするのではなく、青刈りして圃場にすき込んで肥料とすることを目的に麦類などの作物を育てることを推進し、このために無料で緑肥作物の種子を配布するということも行っています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　しかし、緑肥の栽培は、種子さえもらえばタダでできるというわけではありません。耕し、種を蒔き、管理し、最後には刈ったり、それを圃場にすき込んだりするためには労力が必要ですし、トラクタなどの燃料も必要です。ですから、金にならない栽培というものには、たいていの農家は乗り気になりません。また、風害を防止し、作土を良好に保つためにも役立つとは言え、直接的な利益に結び付かない緑肥の種子に税金を使うことは、納税者の理解を得にくいもののはずです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　本当は、農家が直接収入が得られる通常の仕事の中で圃場を良くし、街に土埃も降らせない道筋を付けることがいちばんいいのです。だから、例えば再び冬場に麦を作って、翌年それを収穫して売れることがいちばんいいはずで、それは他の納税者にも喜ばれ、とてもやりがいのある仕事となるはずです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　さて、そこからが問題です。では、誰にその麦を買ってもらうのか。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　ビールメーカーに今一度国産麦を見直してもらうことも、一つの手かもしれません。しかし、ビールメーカーもビール党も、ただでさえビールにかかる重税に苦しみ、力の入れどころを麦以外の原料の多い発泡酒にシフトしている中、かつてのように大量に国産麦を使ってもらうことは難しいと見たほうがよさそうです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　しかし、国産麦の需要がないかと言えば、そんなことはありません。それどころか、むしろ、今は国産農産物に未曾有のチャンスが到来していると言っても過言ではないでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;穀物、乳製品、野菜、果実など、輸入農産物の価格はどんどん上昇しています。原油高、消費する国としての中国の台頭、バイオエタノールの普及による穀物需要の増大などがその背景にあります。その半面、日本の消費者は、品質や安全性に対する不安から、国産農産物を利用したいという気持ちを強めています。そして、多分に政治的な動機が見て取れるとは言え、「食糧自給率向上」を政府や多くの政治家が訴えています。さらに、企業は環境に配慮した経営の実現に必死になっています。国産農産物を使用すれば、収穫したものの輸送による二酸化炭素排出の削減を謳うことが可能で、また食品の形で他国の貴重な水資源を集めるのを減らすということも言えます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;国産麦は猛烈な勢いで売れる時勢にある&lt;br /&gt;ただし、生産者がきちんと説明ができれば・・・&lt;br /&gt;&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　猛烈な勢いで、国産農産物にフォローの風が吹いていると言っていいでしょう。生産者が農産物需用者（食品メーカー、小売業、外食業、そして消費者）にきちんと説明ができれば、国産農産物は売れる時勢にあるのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　茨城県のことに話を戻すなら、例えばビール大麦がだめならば、小麦という手もあるはずです。外食業には、「うまいうどんを打つために国産麦を探している」と血眼になっている人もいますし、国産小麦で付加価値の高いパンを焼きたいという人もいます。小売業、食品メーカーも同じようなことを考えています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　そこで、何かを作って利益を得たいと考えた場合、普通のメーカーはマーケティングし、営業をかけるわけですが、この点、農家は腰が重いところが問題です。天候を見ながら圃場の心配をして、その上都市へ出て行って営業して歩くというのは難しいようです。家族経営の小規模農家が多いため、農家一人が社長と工場長を兼ね、その上マーケティング部長と営業部長も兼ねるのは、とてもできないというわけです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　また、そもそも、日本の通常の会社間にある商習慣を全く理解していない人が多く、さらに今日の都市生活者の生活とニーズがどのようであるか、全く想像ができていない人が普通という状態です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　この点、うまくいっている農協は、マーケティングと都市への営業を引き受け、個々の農家は営農に専念できるような体制を築いていますが、残念ながら、マーケティングのセンスがなく、営業も上手でない農協も多いものです。こうしたタイプの農協には、農家に農業機械や肥料、農薬などの資材、それに金融商品や宝飾、衣類などを売り込んで現金を稼ぐのに必死で、とてものこと農産物のマーケティングや営業にまで手が回らないというところもたくさんあります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　一般に、日本の生産者は売ることが構造的に苦手になっているというのが現状です。（つづく）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;コラム担当：ライター　齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:creator>yasai</dc:creator>
<dc:date>2007-12-27T18:26:29+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2007/12/1_95c4.html">
<title>(1)「風食」---畑の土が消えていく (つづき)</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2007/12/1_95c4.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/banner_rnnogyo.gif&quot; /&gt;&lt;br /&gt;
齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。
&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;&lt;br /&gt;&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;作業を軽減させる化学肥料の登場&lt;br /&gt;&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　戦後、化学肥料が普及すると、堆肥を作ったり撒いたりすることが減っていきました。もともと、堆肥作りはたいへんな手間と時間がかかります。しかも、圃場に均等に撒く作業も、機械化しづらい作業だったためたいへんでした。そこへ、粒状などで撒きやすい化学肥料が登場したので、農家は仕事がラクになるといってとても喜びました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　お金を払って買う肥料なので「金肥」（きんぴ）などとも呼ばれましたが、彼らにはそのコストをかける価値があったのです。世の中は、高度経済成長に向かって、第二次産業、第三次産業で労働力の需要が高まり、若者や働き盛りの男性は都市へ働きに出るようになります。そうなると、父親、息子、娘が不在の間に、「じいちゃん」「ばあちゃん」「かあちゃん」で営農をしなくてはなりません。この「三ちゃん農業」を支え、日本の経済大国化を実現した影の功労者の一つが化学肥料であり、さまざまな農業機械だったのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　でも、化学肥料で作物が吸うための肥料成分をまかなうことはできましたが、その影で、圃場の微生物は減っていったのです。彼らに必要な腐植の元となる堆肥などの供給がされなくなったか、減ったからです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　牛久市の農家、高松求さん（77歳）は言います。&lt;br /&gt;「化学肥料を使った当初は、ものすごく効きました。化学肥料を撒くと、本当によく育ち、よく取れて驚いたものです。でも、数年後にはさっぱり効かなくなったんです」。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;腐食が減り、微生物がいなくなり、土が消え始めた&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　高松さんと仲間の方たちは、長年の経験から、それは腐植の不足によって作土が肥料成分を保つ力（保肥力）が落ちたためだと気付きました。また、化学肥料
でも微生物が分解した形でなければ作物が吸収できない成分があるので、腐植が減って微生物が減ったことも問題でした。そこで、再び堆肥を施したり、別な手
段で（どんな手段かは、回を改めてお伝えします）圃場に腐植の元となる物質の供給に注意を払うようにしました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　もちろん、このことに気付いた農家は、高松さん以外に、全国にたくさんいます。「土作り」という曖昧な言葉がよく使われますが、多くの人が言う「土作り」とは、こうした観点で作土を良好に保つことを指しているようです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　しかし、多くの地域、多くの農家で、腐植を保つことは軽視されたままでした。そして、年月を重ねるごとに作物は育ちにくくなり、「ではもっと肥料を与え
ねば」と、農家や肥料を売る人（肥料メーカーや肥料店だけではありません。恐らく日本でいちばん肥料を売ってきたのは農協です）が考え、さらに腐植は減り
ました。撒き過ぎた肥料（化学肥料でもいわゆる有機肥料でも）は、作物が過剰に吸って健康を害するか、水に流されて地下水に混じり、河川に流れ、海に流れ
ます。このムダの分、肥料関係の産業は余計に売り上げたとも言えます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;ビール大麦作りをやめて風害が加速&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　そして、10年、20年、またそれ以上の年月が経つにつれて、圃場の腐植は完膚なきまでに失われ、団粒構造を保てずに、冬には風害を起こしやすくなったのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　それでも、たとえば牛久市の高松さんの周辺で、冬場の風害が特に大きな問題となり始めたのは、ここ10年ほどのことです。なぜ、それまでは風害が目立た
なかったのでしょうか。それは、この地域の水田や畑などでは、冬に麦を育てていたからです。イネの収穫の後、ビール大麦を撒いて冬を越させ、翌年収穫す
る。すると、冬から春先の風の強い時期には、麦の根が土をしっかりと押さえ、圃場に吹き込む風を茎葉が防ぐのです。これにより、風害で失われる土の量を
15分の1に抑える効果があるということです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ところが、1996年頃から、この地域で冬場の麦作がほとんど見られなくなったのです。なぜかというと、95年の夏に、ビールメーカーが軒並みビール大
麦の引き取り（買い付け）を断ったからです。「表向きは、品質が基準に達していないと言われました。しかし、あの年はどの農家の圃場でもよく取れ、品質に
もみんな自信を持っていたのです」と高松さんは言います。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　実はこの年、ウルグアイ・ラウンド発効で、海外のビールメーカーの攻勢を予測したビール業界は、安価な外国産麦の使用量を増やさないと価格的に対抗できないと農協に迫り、国産麦の引き取り量を減らすことで合意していたのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　高松さんが「農家は儲からないとなれば、二度と作らないものです」と言うとおり、この地域では水稲と麦で圃場を回転するという生産体系が失われました。
以来、圃場の風害、すなわち砂漠化がさらに進み、生産での障害となるばかりか、非農家にとっては洗濯しても落ちづらい土埃の害ともなって地域全体の悩みの
種となっていったのです。&lt;/p&gt;&lt;br /&gt;&lt;p&gt;次回は、国産農家が苦手な「生産物を売る」ことと、外食企業などが得意な「買い付け」の関係についてお話します。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;このシリーズへの要望など、コメント欄まで、ぜひどしどしお寄せください。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;コラム担当：ライター　齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:creator>yasai</dc:creator>
<dc:date>2007-12-21T22:20:01+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2007/12/post_2d7c.html">
<title>【交叉する外食と農業の未来】(１) 畑の土が消えていく</title>
<link>http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/2007/12/post_2d7c.html</link>
<description>齋藤訓之（さいとう・さとし） ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;http://www.restaurants-news.com/column_nogyo/banner_rnnogyo.gif&quot; /&gt;&lt;br /&gt;
齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;br /&gt;
ライター。外食記者から農業記者へ転身後、フリーに。中小企業としての外食業経営から、農作物、生産農家の最先端までを幅広く取材。本コラムでは理想論からは見えない、農業と外食が連携できる現実的な未来とは何かを、現場記者の立場から問う。
&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　今回から、農業について私が知っている限りのことをお伝えしていきます。外食に携わる方々が、農産物を利用したり生産者とお付き合いをしたりするための有効な情報を集める一助となり、仕入れや調理など、毎日の仕事に役立てていただければ幸いです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　私から見ると、多くの外食関係者あるいは都市生活者の農家や農業に対するイメージは、現実とかけ離れているように見えます。そして、それによって自社が損をしたり、お客様に損をさせたり、あるいは生産者を苦しめたりすることが多いようです。この稿が、みなさんが農家や農業に対して抱いているイメージを、少しでも考え直してみるきっかけになればと思います。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　連載では、季節に合わせて具体的な農産物や農作業に即した話題を取り上げていこうと考えていますが、今回はまず、日本の農業や生産者の状況を把握するために、ある地域の例から、一般的なお話をしておこうと思います。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;span style=&quot;font-size: 1.2em;&quot;&gt;&lt;strong&gt;（１）　「風食」---畑の土が消えていく&lt;/strong&gt;&lt;/span&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　日頃、雑誌の取材や情報収集のために各地の農家を訪ねていますが、冬場に茨城県の農家と話すたびに話題になるのが、「風食」のことです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　関東地方は、火山灰を母材とする軽そう土（軽鬆土、けいしょうど）と呼ばれる土が多く分布します。もちろん、同じ茨城県内でも地域によって土質はいろいろですが、私がよく訪ねる牛久市の一帯は特に粒が細かく、軽い土が多い地域です。これは、乾燥すると粉状になるので、衣類にこの泥が着くと顔料のように繊維に残り、洗濯してもなかなか落ちません。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　こういう土壌の圃場（ほじょう。田畑や農園をひとくくりに指す言葉です）が冬場に乾燥し、そこに風が吹くと、土は煙のように空に舞い上がります。ですから、北風の吹く冬や、早春の風の強い時期に行くと、目はごろごろし、道端には土埃の吹きだまりが出来ているような有様です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　生活する上ではそれも困ったことですが、農家にとってはもっと頭の痛い問題があります。いったん舞い上がった土は、圃場に戻るとは限りません。道路にも、住宅にも降り注ぎ、そういう土が下水や川を伝ってどんどん地域の外に運ばれていきます。つまり、圃場の土がなくなっていくのです。&lt;/p&gt;&lt;p&gt; これが風害です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　圃場の土がなくなると、圃場の高さは目に見えて下がっていきます。冬から春に何も栽培しない圃場では、1反歩（たんぶ。10aの広さに当たる）当たり
1.3tもの土が風害で失われるそうです。そして問題は、当たり前のことですが、風害で失われる土は圃場の表面の土だということです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;
　圃場の土の上の方、耕うん機などでいつも耕す部分を作土と言います。その下も土ですが、作土と人やトラクタなどの機械の重みに押されて硬くなっており、「硬盤層」といいます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　硬盤層より下に作物の根が入ることはほとんどありません。従って、作付ける作物によっても違いますが、一般的に、作土は深い方がいいのです。それだけ根が張り、作物が栄養を集めやすく、また倒れにくくなります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　そこで農家は、この作土を深くし、また作物にとって良好な状態を保とうとします。どんな状態かというと、土の粒が、菌類などの微生物の体や、彼らが分泌
する粘液によって小さな粒状の団子のようにまとめられた状態です。これを「団粒構造」といいます。大豆の粒にたとえると分かりやすいかもしれません。乾い
た大豆の粒はばらばらで、手ですくってもこぼれてしまいます。しかし、微生物が活躍して納豆となれば、お互いにくっつき合います。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　団粒構造が出来ると、水分や肥料成分を土の中に留めやすくなります。また、粒と粒の間に隙間が出来るので、水や空気を通しやすくなり、根が窒息しにくく
なります。もし団粒構造が出来ず、細かい土の粒がびっしり詰まった状態になると、圃場から水が抜けにくく、空気も通らなくなります。これは、湿害といわれ
る、作物にとって困った状態の一つです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　さて、この団粒構造は、土だけで作ることはできません。土に、適量の腐植が含まれていることが必要です。腐植というのは、動植物の死骸や排泄物が微生物
によって分解された化合物です。農家がよく「土には有機物が必要だ」と言うのは、これのことです。腐植が微生物の栄養となり、土の団粒構造を保ち、微生物
が排泄するものに含まれるミネラルが、作物の栄養にもなります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　この腐植は、微生物が分解し、分解したものは作物が吸ったり、水に流れたりするので、材料を補わなければ減っていきます。そこで、かつての日本の農業で
は、作物を収穫した後の茎葉（けいよう）などの残さ、牛や馬などを飼う厩舎の下に敷いた敷わらや糞、落ち葉などを集めて堆肥を作り、それを圃場に撒いて、
いつも圃場に適量の腐植があるように保っていたのです。（つづく）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;コラム担当：ライター　齋藤訓之（さいとう・さとし）&lt;/p&gt;</content:encoded>


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