松井春澄×国産無添加生ハム名人・尾島博さん(その2)
尾島さんの生ハムづくり(つづき)

カビが生えた状態で常温の室に移す。
「めがね」と呼ばれる寛骨(かんぼね)をあとで抜く。
この骨の裏には空洞があり、そこに血だまりが
できて腐敗するためだ。防腐剤を添加しない
生ハムづくりには、この骨抜き作業が欠かせない。
熟成させる。1階より2階のほうが
1~2度室温が高く、発酵が進む。
製造は春夏秋冬、四季を経験させ、
次の夏を越したら2年ものの出荷の
時期。さらに年数を熟成させるものも。
対談 その2-------------------------------------
尾島さん まあ、百姓っていうのは、すごいですよね。
松井春澄 尾島さんのHPで飲食店も農耕型経営じゃないとダメだと書いてありましたけれど、私もまさにその時代だと思う。店がお客さまを育てる、お客さまが店を育てる。
尾島さん 農耕型マーケティングは、何事も時間と手間がかかるってことをわかることですよね。どんなビジネスも。飲食店は地域社会の核になることができるんですよ。これからはそういう観点が必要じゃないかなあ。地域で集まって食べられる場所。それがレストランでしょ。
潮流となるキーワードは常に変わってきている。いまなら「健康」「サスティナビリティ」「環境」が中心。あとは「省エネ」。
その時代の上昇気流は何かを探す。読みが必要ですよね。
いまでもそういう意識で世界中のネットを見てますよ、私は。何とか言葉はわかりますので。
松井春澄 それがすごい。体も動くし、遅くまで飲めるし(笑)。
尾島さん ははは(笑)。サッカーが大好きだから、最近はユーロカップで3時にはじまったのを朝5時まで起きて見てた。週1回泳いでテニスもやって。で、さすがに飲む元気がなかったけど(笑)。
松井春澄 遊びすぎ(笑)。
ところで、いま卸しているレストランは何店?
尾島さん 常に100店舗ぐらいはありますね。つきあいが長い店もありますね。
松井春澄 物販は麻布のナショナルスーパーさんに卸してますね。
尾島さん 生ハムはね。あと麻布の酒屋さんでブロック状にカットしたものを売ってます。スライスしたものをパックすると本当の生ハムの味が出ないと思う。
松井春澄 ブロックは、パスタに入れたりすると本当においしいですよね、味が濃くて。一度食べるとどこで食べてもわかるんですよね、尾島さんの生ハムは。舌が覚えている。
尾島さんは今後ハモン・セラーノがどうなっていくと思われます? 最初はあまりメジャーじゃなかった生ハムが、イベリコ豚が来て、だいぶ認知はされてきたと思うのですが。
尾島さん 生ハムというのは、豚の種類によって味が違う。試食していただいても違うのがわかると思います。熱意ある畜産業の方の豚を世に出すという考え方ですね。
私は、技術は持ってないんですよ。生ハムのエキスパートといわれることもあるけれど、そういうことじゃない。ただ、いくらか素材に環境を与えてあげているだけ。いい素材があれば、それが自然にいい生ハムになるような環境を整える。そういうもんです。料理人とは違うね。自分がつくるもんじゃないと思っている。
松井春澄 とはいっても、生ハムは生きもの。常に見ていてあげているでしょう? 誰にでもできることじゃない。
尾島さん 素材が悪ければだめになる。いい素材を見極めることは必要。でも、肉を見ただけではいい生ハムになるかどうかわからない。
松井春澄 育つから。
尾島さん その通り、生ハムは育つものだから。
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