« しらす専門店、ご近所の“紋四郎丸”さん | トップページ | 松井春澄×プロントコーポレーション竹村典彦社長対談(その2) »

松井春澄×プロントコーポレーション竹村典彦社長対談(その1)

こんにちは、松井春澄です。

Takemura 今日の対談のお相手は、全国展開されているカフェ&バール「プロント」でおなじみ、(株)プロントコーポレーションの竹村典彦社長です。前回の対談相手、ミュープランニングの吉本社長の片腕として、繁盛居酒屋をたくさんつくってこられた竹村社長。私の良き先輩であり、飲み友達でもあり、そして何より、そのアイデアのすごさを尊敬しています。

最近は「イリー」なども手がけられ、幅広く活躍していらっしゃる様子。それにこの飲食業界がいまシンドイなかで、昨年対比をぐんと伸ばしているチェーンのひとつでもあります。

いつも元気いっぱいの竹村社長、どんなお話がきけるのでしょうか。


松井春澄
 ミューの時から17年のおつきあい。ミューの時は多業態でいろいろな店づくりをしてきて、プロントは単一業態で続けている。ミューからプロントに社長として行かれた時に、仕事の内容が全然違いましたでしょう? 戸惑いませんでしたか?

竹村社長 戸惑いはまったくないね。同じ外食だから。僕なんか「外食バカ」で、外食ばかりやってきたわけで、戸惑いというよりも、感心した。

 いろんな業態をつくってきたときは、どちらかというと顧客(業態開発の依頼者)優先の生活だったから、居酒屋をたくさんつくるためには夜は居酒屋や新しいレストランやダイニングバーばかり行っていた。つまりプロントには昼間の商談でしか使ったことがなかったわけ。夜のパブ的にプロントを使うということはなかったよね。普通のサラリーマンじゃなかったからね。

だから改めて夜のメニューを見て、じつに感心をした。
コックレス(料理人なし)で、われわれのキャスト(アルバイト)が研修で学んで60アイテムぐらいのメニューをこなせることに、まず感心したね。

 それから、スケールの大きさ。
たとえば、このあいだジャック・ダニエルのキャンペーンを1ヶ月やったんだけど、カクテル類が1ヶ月で10万杯ぐらい出るんだよね。ひとつ商品が当たったら、規模が大きく出るのが面白いし、マーケティングの勉強になる。飲食業なんだけれどもメーカー的な発想もできる。そのマーケティングは非常に面白いので、いま楽しんで仕事をしていますよ。

松井春澄 プロントをもともと発想したのはミューの吉本社長。

竹村社長 そう。サントリーがショットバーをつくってたけど、バブルで家賃がものすごく高騰した。その経済情勢で、かたやドトールさんが台頭してきた。そんな時期に昼はセルフコーヒー、夜はバーという発想でしたね。
 客単価はいま昼間350円から380円、夜は1400円ぐらい。10円、20円の価格設定のバランスが微妙。ちょっと政策を間違うだけで、全体がおかしくなる。そこも特徴だよね。

 3年前、景気がよかったので、いままでなかったラグジュアリーメニューというものを導入した。プロントの商品ラインナップでいちばん数が多いのは400円から550円。これがひとつの山だけど、そのとき、950円から1200円ぐらいの山をもうひとつつくった。

ぽつぽつスペインバルが出始めた頃だったね。まだそんなに全盛じゃなかった頃に、プロントは全店でラグジュアリーメニューでイベリコハムを使ったんですよ。そうすると売上構成比の10%から15%にもなった。一般にプレミアム商品の売上構成比は6%ぐらいなんだけれど、これは客単価を押し上げて、使い勝手が広がったんだと思う。

 ここにきて経済情勢が変わってきて、景気が悪くなったから、逆に300円ゾーンの商品や400円ゾーンの商品の山を高くしようとしている。原点回帰ね。

松井春澄 山を高くするというのはアイテムを増やすということ?

竹村社長 アイテムを増やす。そうね。ラグジュアリーはちょっと抑える方向に転換しているところ。

 調理人がいないというのは限界値はあるんだけど、その限界値を高くする挑戦をする。だから、今年のプロントのテーマは「おいしい」。6月から明太子のパスタも全部入れ替えるんだけど、有名店とまではいかないけれど、1200円で食べている明太子のパスタが580円で食べられるというのを目標にして、内容を開発している。
 当たり前のメニューをどんどん深堀りしていく、というのが今年のテーマですね。

Dpp_0049_2                                                    Dpp_0056

竹村社長 それから、日本のお取り寄せメニューというのをやっていく。やっぱりメニュー開発がうちのすべてなんですよ。それはなぜかというと、プロントというのは わざわざ行く店じゃないから、半径300mぐらいの商圏が勝負。そうするといつも変化を持たせてなければいけない。ということで、メニュー開発が一番大事 と思っていますね。

松井春澄 全国展開していても、地域性というのがあるでしょう?

竹村社長 すごくありますね。

松井春澄 単価設定などで苦労されている点は?

竹村社長 苦労してますよ。やっぱり東京と地方では違う。

松井春澄 ラグジュアリーメニューなんかでも、都市部と地方ではウケるものも違うでしょうし。それでも全国均一メニューを守られているんですよね。

竹村社長 いや、今年から地域戦略を立てているんです。

地方都市、たとえば岐阜。駅前でもビジネスマンはいない立地なんですね。高校生はじめ学生と主婦がメインターゲットなので、別業態「ソラーレ」のようにカ フェとしての業態に近くなっている。ですから、デザートを増やしたり、パスタだけじゃなくて、ハンバーグとロコモコみたいなものを投入したり、エリアに よって変えている。

                                 Dpp_0048

松井春澄 わたし、前から思っていたんですけれど、プロントの昼は、売り物がはっきりしていて、パスタとドリンクというイメージがあります。でも夜は、おつまみメニューが多いという認識なんだけども、夜にプロントに行ったらあれをつまもうなと思うメニューがない。

竹村社長 「ゴボウスティック」とか、「黒糖そら豆」とか、売れているのはそういうものなんだけど・・・

松井春澄 長く二毛作をやっていて「夜に飲める」という認識のわりには、みんなが知っているAランク商品、スペシャルティがないなと、ずっと思ってたんですよ。
 昼はパスタを看板商品としてメーカーさんと共同開発をされたように、夜のプロントの看板商品として、いわゆるパブの定番商品だけどオリジナリティのあるものを開発したほうがいいのでは。たとえば、すごくおいしいソーセージとか。目玉になるような商品をですね。

竹村社長 おっしゃる通り。いまは総花的だからね。

松井春澄 奇をてらったものをオリジナルにするのではなくて、わかりきったものをすることが、プロントの”色”が出てくるんじゃないかなぁ。

竹村社長 そうですね。それをやり始めたんだけど、中国産問題など、いろんなことがあったんで、ちょっと止まっているんだよね・・・。

松井春澄 そうなんですか。
 話が替わりますけど、外苑前で以前、知り合いがイタリア屋台をやっていたんですよ。そこはそんなにキッチンがないんだけど、パスタとか前菜料理を出していて、おいしかった。で、それがヒントなんですが、「可動式のプロントバル」を提案したい!

竹村社長 そうね、それはプロントなのか、イリーなのかわからないけど、将来はね。やれたら面白いよね。

松井春澄 もうひとつは、海外にプロントを出す計画はあります?

竹村社長 ありません。

松井春澄 ありません? 全然?

竹村社長 当面ありません。国内でもっともっとやるべきことがいっぱいある。

松井春澄 もし海外に出るなら、いまの仕様ではなくて、”和バル”のプロントがあったら面白いなあと。

竹村社長 ”和バル”は面白いでしょうね。いま、お酒ブーム、それからお茶ブームになりつつある。「クーツグリーンティー」が先にやってますけど、和バルはいいかもしれないね。

松井春澄 NYでもLAでも日本酒の認知度が高くって、欧米人が居酒屋のスタイルにすごく興味を持っているんですよね。お茶ではなくて・・・。

竹村社長 いや、あのね、むしろお茶でないと面白くないね。お茶+お酒はいいんだけど。

松井春澄 昼はお茶で、夜は日本酒。

竹村社長 そうそう。

                                                       >>つづく

[今回のゲスト]

竹村典彦 (たけむらのりひこ)さん

1958年12月生まれ/奈良県出身
1981年3月  同志社大学 法学部 卒
         1981年4月   サントリー株式会社入社
     1990年3月  ル・マエストロ ポールボキューズ トーキョー 総支配人就任 
     1991年3月   株式会社ミュープランニング゙アンドオペレーターズ設立  取締役就任     1997年9月   不動産免許を取得とともに不動産事業部設立 専任の取引主任者就任 
     2000年8月  商業施設士免許取得 ショッピングセンター等の企画業務に携わる 
     2002年9月  同社  専務取締役就任     
     2004年4月  株式会社ミュープランニング゙アンドオペレーターズ  取締役副社長就任
         2005年3月  同社取締役副社長辞任 同社取締役就任 
         2005年3月  プロントコーポレーション 代表取締役社長就任

 

[案内人]
松井春澄(まつい・はるみ)
(株)食楽 代表取締役社長
静岡県生まれ
1990年、飲食店の総合コンサル企業会社、株式会社ミュー・プランニング&オペレーターズに入社。 様々な飲食店の業態開発、メニューコーディネートの仕事に従事。       
2006年5月に独立、株式会社食楽を設立。
現在は、レストラン、居酒屋、ファーストフードなど異なる飲食店業態からスーパーマーケット、食物販のコンセプト提案など幅広く手がける。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/54654/41804314

この記事へのトラックバック一覧です: 松井春澄×プロントコーポレーション竹村典彦社長対談(その1):

» 居酒屋 バー [居酒屋ナビ]
居酒屋 バーの紹介です [続きを読む]

受信: 2008年7月11日 (金) 19時39分

コメント

コメントを書く




コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。